咽頭炎
一般的に「咽頭(のど)」と呼ばれる器官は、上咽頭、中咽頭、下咽頭に分けられます。口を開けて見える壁の部分が、ちょうど中咽頭となり、その上が上咽頭、その下が下咽頭です。
このうちのいずれかの部分に炎症が起こっているのが咽頭炎です。咽頭の症状以外にも、全身症状(発熱、倦怠感、吐き気等)を伴うことがあります。
「ちょっと咽頭の調子が悪いだけ」と放置していると、気管支炎など下気道の合併症を引き起こすこともあります。症状に気づいたら、早めに受診するようにしましょう。
どんな症状?
- 咽頭の違和感、痛み
- 発熱
- 倦怠感
- 首のリンパ節の腫れ
- 頭痛
- 吐き気、嘔吐
- 腹痛
これらの症状が現れたときには、森口耳鼻咽喉科にご相談ください。
咽頭の違和感や痛みは、食べ物、飲み物、唾液などを飲み込んだときに強く現れる傾向にあります。痛みが強くなると、飲食物を口にすることが難しくなり、脱水症状を引き起こすこともあります。
また、インフルエンザへの感染を原因としている場合には、肺炎、脳症などを合併するリスクも生じます。
治療法は?
薬物療法
喉の痛み、発熱を軽減するための解熱鎮痛剤などを使った対症療法が基本となります。
また、インフルエンザの場合には抗インフルエンザ薬、溶連菌の場合には抗生物質と、原因に即した適切な治療を行います。
日常生活において
脱水症状を防ぐため、積極的に水分を摂取しましょう。また、インフルエンザウイルスや溶連菌の感染拡大を防ぐため、手洗い・うがいを、患者様とご家族が揃って徹底しましょう。
喉頭炎
咽頭から気管までの間を喉頭と呼び、この部分に炎症が起こっている状態が喉頭炎です。
ウイルス感染、喫煙、飲酒、声の出し過ぎなどが主な原因となります。
どんな症状?
- 嗄声(声がれ)
- 声を出せない、出しにくい
- 喉の痛み、違和感
- 咳
- 発熱
- 倦怠感
これらの症状が現れたときには、森口耳鼻咽喉科にご相談ください。
慢性化すると、簡単には声がれも戻らなくなります。集中力の低下などを招く可能性もあります。
喉のがんを含めた他の疾患との鑑別も重要になりますので、すぐ治るだろうと安易に考えず、早めに受診をするようにしましょう。
治療法は?
薬物療法
細菌感染を原因とする場合には、消炎鎮痛薬、抗菌薬、鎮咳薬などを使用します。
また、症状が進行しているケースでは、ステロイド剤の吸引治療を行うこともあります。
喉の安静
声の出し過ぎによって喉頭炎が生じている場合には、喉を安静にして過ごしましょう。また、声の出し方の改善が必要なこともあります。
クループ
「クループ症候群」とも呼ばれるこの病気は、声帯と声帯の下の声門下という部分が声帯より腫れて声門より狭くなるため息苦しさや声の出ない状態や“ケン”または“ケーン”というような特徴的な咳症状を伴っている状態です。ウイルスや細菌の感染から喉頭炎を起こし、クループを続発するケースがよく見られます。
特に6歳頃までのお子様に、風邪のような症状が現れたときにはご注意ください。
どんな症状?
- 風邪症状(発熱、咳、喉の痛み)
- 突然の呼吸困難(息を吸えない)
- 嗄声(声がれ)とほとんど声の出ない状態
- ケン、ケーンといった咳
これらの症状が現れたときには、森口耳鼻咽喉科にご相談ください。
風邪症状は特に急性期に強く現れます。いつもと咳の質が違う場合には、耳鼻咽喉科を受診されることをおすすめします。
治療法は?
薬物療法
普通、エピネフリンという血管を収縮させる薬を使って吸入をします。これを何度か繰り返すことで声門下の腫脹は消退してきます。またステロイド剤を使用して治療することも多いです。症状が強い場合には、入院の上で治療を行います。
日常生活において
ご自宅での加湿も症状を和らげる効果が期待できます。
小さなお子様の場合、ひどく大泣きして喉に負担がかかり、症状が悪化することもありますのでご注意ください。