鼓膜チューブ挿入術(チュービング)とは?
鼓膜チューブ挿入術(チュービング)とは、鼓膜切開術を行っても急性中耳炎が繰り返し起こる場合などに行われる手術です。鼓膜に小さな穴を開け、シリコンチューブを留置することで、中耳の換気を改善させます。
また、なかなか完治しない滲出性中耳炎の治療の際には、鼓膜を切開し、滲出液を排出させますが、鼓膜の穴が閉鎖した後も再発を繰り返すような場合には、鼓膜チューブ挿入術(チュービング)を行うことがあります。
当院の鼓膜チューブ挿入術の特徴
①外来にて短時間で可能
当院では、鼓膜への局所麻酔を行い、OtoLAM(炭酸ガスレーザー)で瞬間的に鼓膜に穴を開けた後、小さなシリコンチューブを入れます。
手術は外来処置で、日帰りにて受けていただけます。
一般的な医療機関では同じ手術を全身麻酔で行うので、入院が必要になります。
②0歳児から受けられる
当クリニックの鼓膜チューブ挿入術(チュービング)は、瞬時に鼓膜に穴を開けられるOtoLAM(炭酸ガスレーザー)を使用した局所麻酔での手術です。そのため0歳児から手術を受けていただけます。
③お子さまの手術の様子が見られる
お子様だけをお預かりしての手術では、お子様も保護者の方も不安になられるでしょう。当クリニックでは、お子様に鼓膜チューブ挿入術(チュービング)を行う際、保護者の方にお子様を抱っこしていただく、またはそばについていただけるようにしています。
また、術前のお子様の鼓膜の様子や術後のチューブの挿入具合をモニターに映し出して、一緒にご確認ができるようにしています。
反復性中耳炎に対する鼓膜チューブ挿入術(チュービング)
対象となる症状
1歳前後のお子様で、急性中耳炎が繰り返し起こる場合などに行います。急性中耳炎が起こると、「耳痛」「耳だれ」「発熱」「難聴」などの症状が現れる場合がありますので、「耳をよくいじる」「熱がある」「寝つき悪い」「不機嫌になる」「激しく泣く」「鼻水、咳などの風邪の症状がある」などの異変に気がついた時には、一度当クリニックで診療を受けさせてあげるようにしてください。小さなお子様の場合、自分で痛みなどを訴えることができない場合があるので、保護者の方が注意して見てあげるようにしてください。
手術内容
鼓膜にのみ局所麻酔(約10分)を行い、OtoLAM(炭酸ガスレーザー)で鼓膜に穴を開けて、そこにシリコンチューブを挿入します。手術時間は2~3分程度です。鼓膜だけの局所麻酔ですので、入院の必要はありません。日帰りで受けて頂くことができます。
チューブの挿入期間
お子様の状態によっても異なりますが、1~2年程度チューブを留置することになります。その間、日常生活に制限はありません。チューブ挿入後は通常、月1回程度通院して頂き、経過観察します。2歳を過ぎればチューブ抜去を考慮します。
効果
急性中耳炎が起こる回数を減少させ、発熱などの症状を防ぐことができるようになります。これにより、働くお母様などが、お子様の頻繁な発熱により保育園から何度も呼び出されてしまい、仕事に支障をきたすといったことも回避できるようになります。
滲出性中耳炎に対する鼓膜チューブ挿入術(チュービング)
対象となる症状
滲出性中耳炎とは、耳管が正常に働かずに、鼓室に液体が溜まっている状態のことを言います。鼓膜チューブ挿入術(チュービング)は、この滲出性中耳炎に対しても行われます。また、鼓室に液体が溜まっていなくても、鼓膜の変形が強い場合にはチューブを挿入することがあります。
滲出性中耳炎が起こり鼓室に液体が溜まると、鼓膜が薄くなって、鼓膜が骨の壁に接着したりそれが固定したりします。鼓室内粘膜ヒダの架橋、肥厚、耳小骨の可動性の低下などを引き起こしたりすることがあります。また滲出性中耳炎をそのままにしていると、中耳真珠腫や癒着性中耳炎に進行する場合があります。
手術内容
鼓膜にのみ局所麻酔(鼓膜麻酔液使用かイオン麻酔による)を行い、OtoLAM(炭酸ガスレーザー)で鼓膜に穴を開けて、そこにシリコンチューブを挿入します。手術時間は2~3分程度です。鼓膜だけの局所麻酔ですので、入院の必要はありません。外来にて日帰りで受けて頂くことができます。
チューブの挿入期間
お子様の耳の状態・年齢によっても異なりますが、1年半から2年程度チューブを留置することになります。その間、日常生活に制限はありません。入浴もプールも問題ありません。ただし、潜水や飛び込みは避けるようにしてください。チューブ挿入後は通常、月1回程度通院して頂き、経過観察します。2年以上再発がなく年齢が達していれば、チューブを抜きます。途中、チューブが自然に抜ける場合もありますが、その際、1年間滲出性中耳炎の再発がなければ治癒したものと考え、再発するようであれば、再びチューブを挿入します。
効果
鼓膜の状態を改善させ、聞こえを良くすることができます。また、鼓膜の変形や菲薄化をある程度改善させることができます。
術後の注意点
- 年齢や状態によってもちがいますが、だいたい1~2年ほどチューブを入れておくことになります。
- 日常生活に特に制限はありませんので、普段通りにしてください。ただし水泳では潜水、飛び込みなどは避けてください
- チューブを挿入した後は月1回ほど通院していただき、経過を観察します。お子様の場合、2歳を過ぎるとチューブを抜くことを考慮します。
- 途中でチューブが自然に抜けることがあります。その際、中耳炎の再発がみられなければ治癒したものと考え、もし再発するようであれば、再びチューブを入れる処置を行います。
鼓膜チューブ挿入術(チュービング)の費用(3割負担の場合)
鼓膜チューブ挿入術(片側) | 8,010円 |
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